読売日本交響楽団 第584回定期演奏会

諸井三郎/交響的断章
藤倉 大/ピアノ協奏曲 第3番 「インパルス」(共同委嘱作品/日本初演)
ワーグナー/舞台神聖祭典劇「パルジファル」から第1幕への前奏曲
スクリャービン/交響曲 第4番「法悦の詩」 作品54

指揮:山田和樹
ピアノ:小菅 優

2019年1月18日(金) 19:00 サントリーホール

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先週末、5か月ぶりに東京にコンサートを聴きに行った。職場の人たちには「現実逃避してくるよ(笑)」などと言いながら、自分としてはこれを機に気持ちをリセットしたいと真面目に思っていた。日常に埋没している心と体を自らねぎらわなければいけない・・。(この頃東京に行くときはだいたいこういう気分なのだ。)

もう少し早く記事にしよう思っていたが、平日夜にもかかわらず「マチルダ 禁断の恋」を観に行ったり、シャワートイレが壊れてしまったりということがあり、こうして翌週になってしまった。記憶が薄れないうちに大収穫を記録しておかねばならぬ。


さて、読響の第584回定期。このプログラムは私にとってまさに垂涎ものであった。有名だけれどもナマで聴くチャンスが滅多にない「法悦の詩」。その前になぜか置かれた「パルシファル」の前奏曲。パルシファルはワーグナーの中で最も好きな楽劇だ。この2曲だけでも願ったり叶ったりなのに、前半に何と藤倉大の新作初演があり、しかもそのソリストが小菅優と来た。そしてプログラム1曲目は、諸井三郎が独学に限界を感じてドイツに留学する直前の1928年(昭和3年)の作品とのこと。2017年のサントリーサマーコンサートで戦中期の作品を聴く機会があったが、これはもっと遡って昭和初期の日本人作曲家によるオーケストラ曲である。

実際に聴いて最も心がときめいたのは藤倉大のピアノコンチェルトであった。曲のことは文字には到底起こせない。とにかく出てくる音、音、音が新鮮でスリリングで、そして小菅優のテクニックの限界に挑むかのような表情が聴く者の心を鷲づかみにしてくるものだから、「聴く」ことが単なる受動から激しさを伴った能動に移り変わった。体を動かすわけでもなく、外見的にはじっと聴いている姿であったはずだが、あの時間の自分の心は踊りに踊っていた。「次はどうなるんだろう・・」というワクワク感の連続。同じく小菅優による2016年のサントリーサマーにおけるリンドベルイのコンチェルトのときもそうだった。理屈っぽくなくストレートに心に届く現代曲は案外とあるものだ。





藤倉大のこの作品は、モンテカルロフィル、スイスロマンド管、読響の共同委嘱作品とのこと。要するに山田和樹つながりということだろう。『ピアノがインパルス(信号)としてオーケストラに信号を送り、インパルシヴ(衝動的)にオーケストラが即座に反応。ただし忠実には反応しない。』という解説がなされていた。聞こえてきた音数はものすごく多く、「書くだけでもたいへんだったろうなあ」というお節介な気持ちを抱きながら、音密度が高い故の充実感にも浸った。演奏されている間中、会場に熱気が漂うのを覚えた。終演後はまさに割れんばかりの拍手。「この瞬間に立ち会えたこと」を互いに祝福するような心持ち。

諸井三郎の「交響的断章」では、自分の親世代が生まれた頃にこのような立派な管弦楽作品があることに驚愕。ナマで初めて聴く「パルシファル前奏曲」はブラスの重厚なハーモニーから、やはり伝記のとおりブルックナーがこの作曲家から大きく影響を受けたんだろうなという思いに駆られる。「法悦の詩」はトランペットのソロがたいへんな名演。ピッチが常にピタリと決まって力感を失うことも全くなく実に官能的。見事であった。

山田和樹の指揮には何度か接してきたが、今回のようなプログラムで聴くと、本当に何でもこなしてしまう才人であることがよく分かる。キレがよく、見通しのよい音楽作りで、その動きを見ることで、難解な曲も「こういう音楽だよ」ということが理解できるような気になってしまう。ただ、体全体が少しばかりふくよかになっていたようで(違うかも知れない。私にはそう見えたけれど)、これは意外であった。

ホールにはテレビカメラが入っていた。BS日テレの「読響シンフォニックライブ」でいつか放送になるかも知れない。

また、会場では評論家の東城碩夫氏を見かけた。「東条碩夫のコンサート日記」に評が出ている。プログラミングについての話は「なるほど!」である。

この日は、14時50分に盛岡を起った。
16時40分頃大宮を過ぎたあたりで大発見! 美しい山のシルエット。「これって富士山??」「大宮から富士山が見えるの??」と信じられない気持ち。とにかく写真を撮った。後で調べて分かったが、やはりこれは富士山であった。東北新幹線から富士山は見えるのである。今の今まで知らなかった。

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