神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ第3回

ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
ハチャトゥリアン/バレエ音楽「ガイーヌ」組曲第1番より
 「剣の舞」「バラの乙女たちの踊り」「レスギンカ」
ビゼー/「アルルの女」第2組曲 
リスト/交響詩「レ・プレリュード」
ムソルグスキー/歌劇「ホヴァーンシチナ」第1幕前奏曲「モスクワ川の夜明け」
チャイコフスキー/荘厳序曲「1812年」

指揮:小泉和裕

2019年1月19日(土) 15:00 神奈川県民ホール

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小泉和裕は仙台フィルの主席客演指揮者を退任したので、身近なところで実演に接する機会が無くなったことを残念に感じていたが、ちょうど神奈川フィルに客演するコンサートがあるというので聴いてきた。会場はみなとみらいホールではなく、県民ホールの方。(みなとみらいではソヒエフとN響のコンサートが開かれていた模様。)

神奈川県民ホールを訪れたのは2回目。前回はもう30年以上前のはず。あのときは、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスと読売日響のコンサートで、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」とマーラーの交響曲第4番だった。ソプラノが佐藤しのぶと大倉由紀枝で、「真夏の夜の夢」のソプラノ二重唱と女声合唱が加わった「妖精の歌」があまりに美しく、この音楽に親しむきっかけとなったので、今でもこうして強く印象に残っている。1階席の後方で聴いたように記憶している。(ああ懐かしい!)

横道に逸れたついでにホールのことをもう少し。神奈川県民ホールは1975年開館とのこと。岩手県民会館が1973年開館だからほぼ同時期に建築されたホールということになる。どちらも当時流行っていた白い反響板付きの多目的ホールであるが、同じ多目的ながらどちらかというと岩手県民会館は音楽寄り、神奈川県民ホールはセレモニー寄りな感じがする。神奈川の方がステージの横幅がグンと広い。宮城県民会館や宮古市文化会館も似たような感じ。

建物全体の作り、ホール内の雰囲気、座席の美しさにおいて、岩手県民会館の方がずっと上質な感じがする。こんなところで県民会館自慢をしたいというのではなく、当初の設計思想が当然ながら後年長きにわたってそのホールのあり方を決めて行くものであることをハッキリ実感できたのだった。神奈川県民ホールは真ん前が山下公園だから、立地の上では申し分ない。

さてさて、肝心の神奈川フィルのコンサート。
プログラムはご覧のとおり親しみやすいものばかり。こういう内容だと、ちょっと散歩にでも出かけるような気軽さで足を運ぶことができる。とはいっても、小泉和裕はどんな小曲でも極めてダイナミックな演奏をする人だから、大きな期待をもって聴き、実際に聴き応え十分な演奏であった。

小泉和裕は全部の曲を暗譜で振っていた。この頃は暗譜で指揮する人は少なくなっているような気がする。もちろんどちらがいいということにはならないが、視線を譜面に移すことなく指揮している姿は爽快である。

神奈川フィルを聴くとなると、「コンマスは誰?」というのが気になる。「石田泰尚だったらいいな・・」と思ってしまうのが正直なところ。幸運なことにそのとおりに! (2010年にみなとみらいで「ミサ・ソレムニス」を聴いたときも石田泰尚に当たった。)

私よりどちらかというと妻の方が石田ファンであり、「石田様」と呼んでいる。Youtubeを検索したら、石田様のシャコンヌがあったので貼り付けておこう。


コンサートマスターとしての石田様の弾きぶりは、やはり並外れて美しい。ガーッとリードする瞬間、「さあ行くぜ!」という感じで自らも音楽に没入していく姿にはゾクッとする。また、楽器を顎から離して天井の方に視線を向けて弾く様子なんかも独特の雰囲気を伝えてくる。立ち座りからお辞儀の仕方の細部に至るまで、まあカッコよすぎるくらいカッコイイ。こういう楽しみもコンサートにはあるのだ。石田様や神谷未穂さんみたいな人がコンマスを務めるときは、コンサートの楽しみが倍増する。

コンサートが終わってからは都内に戻り、森アーツギャラリーで開催されている「新・北斎展」を観てきた。
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島根県立美術館が所蔵している「永田コレクション」のものが圧倒的な量で、非常に見応えがあった。「北斎漫画」というのが自分としては目新しく、「この時代にこういうものが・・」と興味深く、時間をかけて観てきた。

話は前後するが、午前中は久里浜に墓参りをしてきた。勝手に私淑した指揮者が亡くなったのは1986年のこと。マタイ、ヨハネ、ロ短調ミサ、メサイアなど、繰り返し繰り返しコンサートを聴いた。しょっちゅうサインをもらったり、追っかけしたのだ。自分としては決定的に影響を受けた人である。
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20年ちょっと前に一度訪れたことがあるが、ずっとそれっきりであった。時間ができて天気もよかったので足が向いた。お辞儀をしてすぐに帰るつもりだったのに、墓前に30分近くも立ち止まってしまった。没後32年、この間自分に起きたことが次々思い出され、それらのいずれもが追っかけをしていた頃の思いや考えからつながっている。苦々しい思いもたくさんしたし、もちろんいいこともあった。グルグルといろんな気持ちが回転しまくり、同時に頭の中ではヨハネ受難曲が鳴りっぱなしにもなって、なかなか立ち去り難かった。




(読売日本交響楽団 第584回定期演奏会へ)


(飯守泰次郎/新交響楽団の「トリスタンとイゾルデ」へ)


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